重心距離とドライバーショット・スライスの関係
ドライバーのクラブ特性を語る場合、そのクラブの重心設計がどうなっているかは、とても重要です。重心設計と言っても、構成要素は一つではなく、重心角、重心距離、重心深度など複数の要素があります。
本記事では重心距離にフォーカスを当て、ドライバーショット・飛距離との関係について取り上げます。
ゴルフクラブの重心距離とは!?
出典:https://golf.dunlop.co.jp/basicofclub/index.html
重心距離は、重心点からシャフトを伸ばしていった線までの距離を指します。上図ではウッドですが、アイアンでも同じ定義です。
この距離によって、重心距離が長いクラブ、短いクラブという言い方をします。
重心距離が長いクラブ、短いクラブ
では、重心距離が長いクラブ、短いクラブとは、どのように決まるでしょうか?
重心距離は重心位置からシャフトの延長線への距離ですから、フェースが横長の場合、重心距離が長く、フェースが縦長の場合(つまり横幅が短い)、重心距離は短くなります。つまり、ある程度、ヘッド体積や形状によって重心距離が長いか短いかは決まってきます。
【メモ】
大型ヘッドやフェースの横幅が広いヘッド:重心距離が長い
小振りなヘッドやフェースが縦長のヘッド:重心距離が短い
一概には言えない場合もありますが、 シャローは重心距離が短く、ディープは長いという傾向があります。
重心距離によるヘッドの返りやすさ
重心距離が長いクラブと短いクラブで、実際のショットでどのような影響が出るでしょうか?
重心距離が長いとヘッドが返りづらく、短いとヘッドが返りやすくなります。別の表現をすると、重心距離が短い方が、ボールがつかまりやすくなります。
【メモ】
重心距離が短い:ヘッドが返りやすい。ボールがつかまる。
重心距離が長い:ヘッドが返り辛い。ボールがつかまり辛い。
重心距離が短いクラブは操作性が高い
重心距離が短いクラブは、ヘッドが返りやすいということで、実はこれはヘッドの操作性が高いかどうかということを表しています。
ヘッドを返したくても返ってこないと操作し辛いので、上級者にとっては重心距離が短いクラブで思い通りに返せる方が好まれます。これは、逆に言えば返しの操作が不安定な場合、インパクトの際のヘッドの開閉もバラついてしまいます。これがアベレージゴルファーは重心距離が長いクラブを推奨される大きな理由です。
【メモ】
重心距離が短いクラブ:操作性が高いが、ミスも弾道に表れる。
重視距離が長いクラブ:操作性が低いが、ミスが許容されやすい。
初心者のスライサーは重心距離が長いクラブ、短いクラブ、どちらを選ぶべきか?
一般に、重心距離が短いクラブの方がヘッドが返るため、スライスが出にくいとされています。しかし、操作性が高い分、オートマチック性・ミスへの許容性が低いため、この点では初心者に向きません。
初心者でスライサーの場合、どちらが良いのか?と迷ってしまいそうです。
初心者であれば、総合的に考えると操作性の高いクラブは使いづらいので、オートマチックなクラブを使うのが適しています。重心距離という点では「長い」方がおすすめです。
ただし、ヘッドの返りが悪いという課題が残りますので、この点はクラブではなくスイングで対応するのが望ましいと思います。具体的には、シャットなテークバックでヘッドをなるべく開かずにスイングすることを心掛けると良いと思います。